現在も俳優として活躍しているジリアン・アンダーソン(GA)の若い頃からの出演作を年代ごとに振り返ります。
※実際に視聴した映画やドラマであり、すべての出演作を網羅したものではありません。
- 1990年代
- 2000年代
- 2010年代
- Great Expectations (2011) 大いなる遺産
- Johnny English Reborn (2011) ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬
- Shadow Dancer (2012) シャドー・ダンサー
- L’enfant d’en haut (2012) シモンの空
- Hannibal (2013) ハンニバル
- THE FALL (2013) 警視ステラ・ギブソン
- I’ll Follow You Down (2013) タイム・チェイサー
- Robot Overlords (2014) スティール・ワールド
- War & Peace (2016) 戦争と平和
- Viceroy’s House (2017) 英国総督 最後の家
- Crooked House (2017) アガサ・クリスティー ねじれた家
- American Gods (2017) アメリカン・ゴッズ
- UFO (2018)
- 視聴方法
- おわりに
- おすすめの記事
1990年代
The Turning (1992)連鎖犯罪
ジリアン・アンダーソンの映画デビュー作。舞台俳優としてのキャリアを持つ彼女が、映像の世界でその類まれな表現力を発揮し始めた貴重な一作。静かながらも力強い、魂の再生の物語が描かれる。
【社会派】閉鎖的な社会や価値観の圧を描く作品が好きな人向け。
GAは、田舎町の素朴な少女エイプリル役。
Princess Mononoke (1997) もののけ姫
宮崎駿監督の傑作アニメの英語版。
ジリアンは、山犬の神・モロの声を担当した。人間への激しい憎しみとサンへの深い愛、そして神としての威厳を見事に声で表現。日本語版の美輪明宏に劣らぬ圧倒的な存在感を示し、作品の世界観をグローバルなものへと昇華させることに大きく貢献した。
【ファンタジー】神話的世界観と自然をテーマにした物語が好きな人向け。
GAのモロ。
正直、最初は少し不安でした。でも、そんな心配は無用。やっぱりさすがだなと。
美輪さまのような怪しさとは違うけれど、別の魅力を持ったモロでした。日本版が「もののけ寄り」だとすると、英語版はより「母寄り」のモロという印象。作り込みすぎず、落ち着いたいい声だったと思います。
GAはこの仕事を引き受ける際に「これって男の人の役よね?」と言ったそう。
モロは母犬なので本来はメス。でも日本版では美輪明宏さんが演じていて、男でありながら男でない存在。そのあたりをGAがどこまで知っていたのかは謎だけど、あの発言はそこにつながっている気がします。そういえば、この映画の主題歌も、どこか性別を超えた雰囲気がありますよね。US版では女性が歌っていたはず。
もうひとつ、GAらしいエピソード。
この吹替収録の際、空港に迎えに行ったスタッフが誰も彼女を見つけられなかったそう。当時X-Filesで大スターだった彼女が、付き人もつけず、自分で荷物を持って現れるとは思っていなかったらしい。いかにもGAらしい話で、ちょっと微笑ましくなりました。
The Simpsons (1997) ザ・シンプソンズ
第8シーズン「スプリングフィールド・ファイル」に、スカリー捜査官としてゲスト出演。相棒モルダーと共に、謎の発光体を目撃したホーマーの調査に乗り出す。人気アニメの世界で、自身のアイコニックなキャラをコミカルにセルフパロディ化。ファンにはたまらない、豪華で知的な共演が実現した。
【アニメ】セルフパロディや遊び心のある回を楽しみたい人向け。
GAもDDも「録音ブースで、2人で台詞を読んだ記憶はあるけど、ホーマーと共演したっていう実感がない」とコメントしていた。
The X-Files: Fight the Future (1998) X-ファイル ザ・ムービー
大ヒットドラマ初の劇場版。テレビシリーズシーズン5とシーズン6を繋ぐ物語で、テキサスのビル爆破事件から背後に潜む巨大な陰謀を追う。ジリアン演じるスカリーが科学的根拠を武器に、未曾有の危機に立ち向かう姿は圧巻。大スクリーンならではのスケール感で、究極の真実が描き出される。
【SF・サスペンス】シリーズの世界観を拡張した物語を楽しみたい人向け。
この映画、よく出来ていると思います。まだCGが発展途上だった頃だと思うけど、なかなかの仕上がり。少し贔屓目も入っているけれど、あと数年早かったら今見るのは厳しかったかもしれない。ギリギリセーフ、という感じ。
スタッフも出演者も口を揃えて言っていたけれど、X-Filesを初めて見る人も、見続けてきたファンも楽しめる内容だと思う。特に後者にとっては、捨てるところがない。ダラスに行ったり、南極に行ったり、穴に落ちたり、冷蔵庫に入ったりと、とにかく大忙し。巨大なUFOも登場する。
The Mighty (1998) マイ・フレンド・メモリー
巨体だが知的に遅れのある少年と、難病で歩けない少年の友情を描く感動作。
ジリアンは、少年たちの周囲にいる影のある女性ロレッタを演じる。主役ではないが、その独特な佇まいが物語に深みを与え、傷ついた魂を持つ人々が支え合って生きる姿を彩る。瑞々しくも切ないヒューマンドラマの傑作。
【ヒューマンドラマ】友情や成長を丁寧に描く物語が好きな人向け。
お隣同士の少年2人が、最初は2人でなんとか一人前のような関係だけれど、それぞれがお互いを必要とし、助け合いながら成長していく過程を描いた物語。
2人のうち1人は、天才子役と呼ばれたマコーレー・カルキンの弟(兄弟が多いらしいので、そのうちの1人ということで)。とにかくこの子が本当に上手い。この役柄にぴったりだったのもあると思うけれど、印象に強く残る。彼の母親役を演じているのがシャロン・ストーン。
ジリアンがどこで登場するかは見てのお楽しみ。泣ける話ではあるものの、決して悲しいだけではなく、前向きな余韻が残るストーリー。
Playing by Heart (1998) マイハート・マイラブ
LAを舞台に、世代の異なる男女たちの愛の形を連作形式で綴る。
ジリアンは、愛に慎重な女性メレディスを演じ、ジョン・スチュワート演じる男性とのぎこちなくも温かい交流を披露。豪華キャストが集結し、会話劇の中で浮き彫りになる孤独や渇望、そして希望を鮮やかに映し出した上質な群像劇。
【恋愛群像劇】複数の人間関係が交錯する物語が好きな人向け。
ショーン・コネリーが脚本に惚れ込み、出演を即決したというエピソードが印象的。
見終わったあとに、ほんわかした気持ちになれる映画で、個人的にとても好きな1本です。内容を細かく書いてしまうと面白さが半減してしまいそうなので多くは語らないけれど、素直におすすめできる作品。出演者もかなり豪華。
Chicago Cab (1998) シカゴ・ドライバー
シカゴのタクシー運転手の一日を通し、乗客たちの様々な人生を垣間見るアンソロジー。
ジリアンは乗客の一人として出演し、短い登場シーンながらも強烈な印象を残す。都会の喧騒の中で交錯する、喜び、悲しみ、怒り、そして滑稽な日常。人間の多面性を描く、一癖ある独立系映画の意欲作。
【人間ドラマ】人生の断片を切り取った短編的な作品が好きな人向け。
ほんの少しだけGAが出ているという噂を聞いて観たのだけど、意外なところで「おっ」と思わせてくれました。
この映画、なにより印象に残るのはジュリアン・ムーア。ずっとタクシーの車内だけで進んでいくのに、乗客たちがとにかく濃くて楽しい。
GAもその乗客のひとりで、かなりいい味を出しています。乗客の中で一番移動したのは彼女じゃないかな(笑)。小さい体を活かした動きや、顔を隠す仕草がかわいくて、手元の所作も印象的。スカリーの頃から、いつも手がきれいだなと思って見ていました。
そしてジュリアン・ムーア。彼女が演じるのはレイプ被害に遭った女性で、この場面で映画のトーンが一気に変わる。その切り替えが本当にうまい。
2000年代
Bleak House (2005) 荒涼館
ディケンズの古典をドラマ化。
ジリアンは秘密を抱える貴婦人レディ・デドロックを演じ、その冷徹な美しさと内面の葛藤が絶賛され、数々の賞に輝いた。遺産相続を巡る果てしない訴訟に翻弄される人々の群像劇。彼女のキャリアにおいて「スカリー」のイメージを脱却し、演技派の地位を確立した代表作。
【文芸・古典】重層的な人間関係をじっくり味わいたい人向け。
原作の面白さもさることながら、GAの演じるレディ・デッドロックのミステリアスな魅力にハマる。
The Mighty Celt (2005)
北アイルランドを舞台に、ドッグレースの犬「マイティ・ケルト」と少年の絆を描く。
ジリアンは少年の母親を演じ、紛争の影が残る社会で懸命に生きる女性を等身大で表現。厳しい現実の中でも希望を捨てない親子の姿と、かつての恋人との再会。静かな感動を呼ぶ、アイリッシュ・シネマの佳作。
【社会派】社会問題を背景にした静かなドラマが好きな人向け。
想像以上によかった。笑えるところも結構あって、見終わったあとにほんわりした気持ちになれる作品。
批評やインタビューで「訛りが完璧」とよく言われていて、GA本人も「相当苦労した」と話していたので期待と不安があったけれど、実際に観てみると本当に素晴らしかったと思う。たぶん(笑)。というのも、イギリス英語もよくわからない上に、イギリスの田舎の訛りなんて当然知らない。でも、何を言っているのかほとんど聞き取れなかったという点で、逆に「これは相当すごいのでは」と感じた。イントネーションも発音も完全に別物で、字幕がなかったらかなり厳しかったと思う。
もちろん訛りだけでなく、作品自体もとてもよかった。GAも子役もワンコも、みんなそれぞれにかわいくて、日本でも公開すればいいのにと思ったくらい。もったいない。
スーパーでの買い物後のシーンも印象的。あんなに大量に買っていたから、まさか歩いて帰るとは思わなかった。でもそれは物語的に意味のあるシーンだった。
The Last King of Scotland (2006) ラストキング・オブ・スコットランド
ウガンダの独裁者アミンに翻弄される青年医師の数奇な運命を描く。
ジリアンは、現地で活動する医師の妻役を演じ、アミンの狂気と圧政に直面する。フォレスト・ウィテカーの怪演が光る中、彼女の抑えた演技が、いつ命を落としてもおかしくない当時の緊迫感をよりリアルなものにしている。
【実話・社会派】権力と狂気を描いた重厚な物語が好きな人向け。
映画を見る前は、アミンが権力を盾にやりたい放題していた人物なのだと思っていたけれど、実際に描かれていたのは、恐怖心から生まれた暴力と狂気だった。
若い医師ニコラスは、アミンを相手にするには若すぎた。だからこそ憧れ、近づいてしまったのだと思う。「私はお前の父だ」と語るアミンに対し、「いや違う。あなたは子供だ。だからこそ怖い」というニコラスの言葉が、この関係性をすべて表しているように感じた。
ニコラスという人物は実在ではないらしく、その後どう生きたのかはわからない。いろんな意味で痛い思いをして、彼はスコットランドで老人医療に携わったのだろうか、などと考えてしまった。
ジリアンは現地医師の妻サラ役で早い段階から登場し、アミンとニコラスの出会いの場にも立ち会う。現地事情を知り、ウガンダと一定の距離を保っている立場から、ニコラスの危うさに気づき助言するけれど、彼は聞く耳を持たない。終盤、街で偶然サラを見かけ、すがる思いで追いかけるニコラスに気づきながらも、彼女が背を向ける場面が印象に残った。
アフリカ暮らしが長い設定なので、日焼けメイクにボサボサの髪のジリアンも新鮮。医師ではないけれど、夫の近くで地元の人たちに絵を使って衛生指導をしている姿がとてもよかった。
Straightheads / Closure (2007)バイオレンス・ブリット
暴行事件の被害者となった男女が、凄惨な復讐に打って出るバイオレンス・スリラー。
ジリアンは復讐に燃える強い女性を演じ、従来のイメージを覆す過激な役どころに挑んだ。静かな生活が暴力によって一変し、被害者が加害者へと変貌していく心理的葛藤と、衝撃の結末まで息もつかせぬ展開。
【サスペンス】暴力と心理の危うさを描く作品が好きな人向け。
ひさしぶりのジリアン主演作。X-Files終了後、作品選びをかなり慎重にしている印象だったので、なぜこの作品を選んだのか正直かなり謎だった。
脚本はもう少しどうにかならなかったのかなという印象。セリフもほとんどが強い言葉ばかりで、肝心なところがあまり語られない。アリスの恐怖や怒りはよく伝わってくるのだけれど、ストーリーが中途半端なせいで、復讐シーンが本来の意図とは違う感じになっているような…。「目には目を」という構図も、そのまま過ぎて引っかかった。
ジリアン自身は相変わらず美しいし、体を張った演技もしていると思う。ただ、その頑張りが作品全体にうまく活かされているかというと、少し残念な結果になっている気がした。
スリラーとして期待していた分、やや肩透かしという感じ。主役の2人に特別な興味がない人には、正直あまり刺さらないかもしれない。
The X-Files: I Want to Believe (2008) 真実を求めて
劇場版第2弾。医師として働くスカリーが、失踪事件の捜査に協力するため再びモルダーと合流する。超常現象よりも心理的なサスペンスに焦点を当て、二人の揺るぎない絆と信仰心を深く掘り下げた。ファン待望の再会、そして「信じること」への問いかけが胸を打つ、シリーズの新たな到達点。
【ミステリー】信仰と理性の葛藤を描く物語が好きな人向け。
今回は信じたいモルダーと、理性と現実に追い詰められているスカリーの対比がとても強く描かれていて、2人がぶつかり合うのも納得できる流れだった。
サイキックであり、過去に問題を抱えたジョー神父を巡るスタンスの違いも、今の2人だからこそという感じ。
それでも事件に近づきすぎて絶体絶命になるモルダーを救うのはスキナー。頼もしすぎる。その後の抱擁シーンには思わず笑ってしまった。
久しぶりのモルスカに、素直に「やっぱりこの2人はいい」と思えた。
過去エピソードを思い出させる場面も随所にあり、「あ、このシーン…」と楽しくなる瞬間が多い。何度も観返したくなる作品。
How to Lose Friends & Alienate People (2008)
人気雑誌の編集部を舞台に、ロンドンから来たライターが巻き起こす騒動を描くコメディ。
ジリアンは敏腕パブリシストのエレノアを演じ、冷徹でプロフェッショナルな魅力を振りまく。サイモン・ペッグ演じる主人公に翻弄されながらも、業界の裏側を象徴するキャラクターとして存在感を放つ。
【コメディ】業界モノや皮肉の効いた作品が好きな人向け。
友達を失い、人々を遠ざける方法というだけあって、ちょっと下品…だけど面白い。
Boogie Woogie (2009)
ロンドンの現代アート界を舞台に、金と欲、愛と裏切りが渦巻く皮肉な人間模様を描くブラックコメディ。
ジリアンはアートコレクターの妻を演じ、欲望に忠実な業界人たちの醜くも滑稽な狂騒曲の一端を担う。豪華キャストが繰り広げる、虚栄心と情熱が入り混じったスタイリッシュな大人たちの物語。
【人間ドラマ】欲望と虚栄が渦巻く世界を覗きたい人向け。
ある種のロンドンのイメージあるある。
2010年代
Great Expectations (2011) 大いなる遺産
ディケンズの名作をドラマ化。
ジリアンは、結婚式当日に捨てられた悲しみから、朽ち果てたウェディングドレスを着続けるミス・ハヴィシャムを怪演。その異様な佇まいと狂気、そして若者への復讐心に満ちた迫真の演技は、数ある映像化作品の中でも最高傑作の一つとして高く評価されている。
【文芸・古典】抑圧された感情や過去を描く作品が好きな人向け。
チャールズ ディケンズなので、ストーリーは面白いこと間違いなし。GA演じるミス・ハヴィシャム怖かった〜。
Johnny English Reborn (2011) ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬
ローワン・アトキンソン主演のスパイコメディ第2弾。
ジリアンは英国諜報機関MI7のトップ「ペガサス」役で出演。大真面目に指揮を執る彼女と、トラブルを連発するジョニー・イングリッシュとのギャップが笑いを誘う。コメディ作品でも発揮される彼女の知的な威厳とコミカルな間が絶妙。
【コメディ】英国風ユーモアを楽しみたい人向け。
ローワン・アトキンソンワールドにしっかりハマっている!
Shadow Dancer (2012) シャドー・ダンサー
IRAのテロリストだった女性が、家族のためにMI5のスパイになることを強要される緊迫のサスペンス。
ジリアンはMI5の冷徹な幹部を演じ、組織の利益のために駒を動かす非情なプロフェッショナルを体現。政治的対立に翻弄される個人と、国家の論理が衝突する、静かながらも息詰まる傑作。
【政治サスペンス】思想と立場の狭間で揺れる人物像に興味がある人向け。
「Trust no one」を地でいく、観るとどんよりするタイプの映画。いわゆるミルドン系。見終わったあとに心臓を後ろからグッと掴まれるような感覚が残る。
IRAとMI5、どちらも生きるか死ぬかの世界で必死に動いていて、はっきりした善悪は描かれない。その中で、戦いを望んでいない人たちが犠牲になっていく構図がとにかくつらい。後味は正直よくない。
IRAとして活動する場面と、MI5のスパイとして動く場面で、コレットの衣装が赤と青に使い分けられていたように感じたのだけど、あれは気のせいだったのかな。
ジリアンはMI5のエージェント、マックの上司ケイト役。ただし、この人物にも裏がある。マックの作戦は、もっと大きな計画の一部にすぎず、ケイトは別のスパイを守るための囮として彼を動かしていた。それが「シャドー・ダンサー」。
結局、マックはコレットに入れ込んでしまい、作戦の裏に気づくけれど、それが破滅への道になる。美人はやっぱり簡単には死なないのか、と思わされる終わり方だった。
L’enfant d’en haut (2012) シモンの空
スイスの高級スキーリゾート。富裕層から盗みを働く少年と姉の、過酷な絆を描くヒューマンドラマ。
ジリアンは少年と交流する宿泊客の女性を演じ、豊かさの裏側にある孤独と、少年へのささやかな共感を示す。ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した、美しくも残酷なリアリズムが光る名作。
【人間ドラマ】静かな視点で人を描く作品が好きな人向け。
全体にとても静かで、淡々としているのに、ずっと緊張感が続く映画。
ジリアンが演じているのは、スキー場を訪れる子連れの客クリスティン。シモンにとっては盗みの対象になりそうな存在なのに、なぜか彼女からは盗もうとせず、自分から近づいていく。その距離感がとても不思議で印象に残る。
彼女に対するシモンの態度は、物語の後半で明らかになる姉弟の隠された真実と深く結びついていて、最後に意外な形で嘘が露見する展開が胸に残った。
フランス映画ということもあって、ジリアンが英語だけでなく、ときどきフランス語を話すのも新鮮。これまでとは少し違う一面を見せてもらえた作品だった。
Hannibal (2013) ハンニバル
ハンニバル・レクターの若き日を描く衝撃のドラマシリーズ。
ジリアンはハンニバルの精神科医ベデリアを演じ、彼の本質を見抜きつつも、危険な関係を深めていく。その優雅で謎めいた佇まいは、作品に独特の品格と緊張感をもたらし、マッツ・ミケルセンとの静かな演技合戦はファンを魅了した。
【心理サスペンス】緊張感のある人間関係を楽しみたい人向け。
ハンニバルの精神科医という難しい役どころ。見応えあり。
THE FALL (2013) 警視ステラ・ギブソン
北アイルランドを舞台に、冷徹な警視ステラ・ギブソンと、連続殺人犯の心理戦を描く傑作サスペンス。
ジリアンは、圧倒的な知性と自立心を持つステラを完璧に体現。犯人を追うだけでなく、警察組織の男社会とも戦う彼女の強さは、現代的なヒーロー像を提示し、彼女の新たな代表作となった。
【クライム】心理戦を重視した犯罪ドラマが好きな人向け。
肉食系のステラちゃん。シーズン2では、検死官リード・スミス(アーチー・パンジャビ)との関係も印象的。さらに、かつての不倫相手ジム・バーンズ役ジョン・リンチが『Bleak House』のあの人物だったと気づいた時の衝撃も大きい。
シーズン3では静かな会話劇が続く中、次々と予想外の展開が起こり、最後は意外な結末で幕を閉じる。
ジリアンが「ステラはスカリーより好きなキャラクターだ」と言った理由もうなずけるかも。
I’ll Follow You Down (2013) タイム・チェイサー
失踪した科学者の父を捜すため、息子がタイムトラベルの謎に挑むSFサスペンス。
ジリアンは夫を失い絶望に沈む母親を演じ、悲劇に翻弄される家族の愛と葛藤をエモーショナルに表現した。SF的設定をバックに、愛する人を取り戻そうとする人間の根源的な願いと、その代償を描いた切ない物語。
【SF】家族と時間をテーマにした物語が好きな人向け。
X-Filesでも共演した、ハーレイ・ジョエル・オスメントとの母子役。
Robot Overlords (2014) スティール・ワールド
ロボット軍団に支配された地球。外出を禁じられた少年たちが反撃を開始するSFアクション。
ジリアンは少年たちを見守る母親役を演じ、過酷な状況下での勇気と愛情を示す。ベテラン俳優ベン・キングズレーとの共演もあり、エンタメの中に家族の絆を盛り込んだ、親子で楽しめる一作。
【SF】ディストピア設定の作品が好きな人向け。
すっかりお母さん役が板についてきてますね。SF作品としては、どうなの?っていうところはありますが…。
War & Peace (2016) 戦争と平和
トルストイの最高傑作をBBCがドラマ化。
ジリアンは社交界の華、アンナ・パヴロヴナを演じ、貴族たちの欲望と虚栄を象徴する。ナポレオン戦争に揺れるロシアを舞台に、壮大なスケールで描かれる人間模様。彼女の優雅な身のこなしが、激動の時代の華やかさと危うさを際立たせている。
【歴史・戦争】大河ドラマ的スケールを楽しみたい人向け。
ちょっとお高く止まった系の役、うまいですね。
Viceroy’s House (2017) 英国総督 最後の家
1947年、インド独立とパキスタン分離の舞台裏を描く歴史群像劇。
ジリアンは最後の総督夫人エドウィナを演じ、混沌とする現地の状況に寄り添おうとする知性と慈愛を体現。国家の命運を分ける決断の中で、人道的な視点を失わない女性の強さを、歴史の重みと共に描き出した。
【歴史・政治】植民地史や政治背景に興味がある人向け。
Crooked House (2017) アガサ・クリスティー ねじれた家
クリスティーの傑作ミステリーを映画化。巨万の富を築いた老富豪の毒殺事件。
ジリアンは容疑者の一人である派手な女優マグダを怪演した。奇妙な一族が暮らす邸宅で繰り広げられる、嘘と欲望の応酬。彼女のコミカルで誇張された演技が、物語に潜む毒とミステリアスな魅力を加速させている。
【ミステリー】閉ざされた家系の謎を楽しみたい人向け。
ジリアンのクセ強系キャラは、珍しいかも。
American Gods (2017) アメリカン・ゴッズ
ニール・ゲイマン原作の幻想的なドラマ。
ジリアンは、人々の信仰を集める現代の神「メディア」を演じ、マリリン・モンローやデヴィッド・ボウイといった伝説的アイコンに変幻自在に扮する姿が圧巻。ポップカルチャーの力と神格化を体現する、彼女にしか演じられない唯一無二の役どころ。
【ファンタジー】神話×現代の設定が好きな人向け。
原作小説の感想になるけれど、とにかく「神ですら生きづらい現代アメリカ」を描いた、大人向けのファンタジーという印象。上下巻の長編で、新旧の神々が権力を巡って争う物語だが、単なる神話ではなく、風刺やミステリー要素も多く読み応えがある。
作者のニール・ゲイマンは北米版『もののけ姫』の脚本を書いた人物。物語の中で印象に残ったのは、シャドウが食べ物を通して母の言葉を思い出す場面や、「真実とは何か」「信じるとはどういうことか」を語る長いモノローグ。ここがとにかく面白かった。
神々が大量に登場するため翻訳は相当大変そうだが、八百万の神の感覚に慣れている日本人には意外と受け入れやすい世界観だと思う。
ジリアンが演じるのは、現代側の神であるメディア。色々な人物に変身したり、景色を明るくしたり、華やか。
ドラマ版でどう描かれるのか楽しみにしていたが、シーズン1を見る限りは、原作を読みながら描いた世界が、裏切られない形で表現されていたように思う。
UFO (2018)
空港で発生した不可解な現象を解明しようとする数学の天才大学生と、その周囲を描くSFドラマ。
ジリアンは学生を導く数学教授を演じ、知的で厳格な佇まいを見せる。UFOの正体を追い求める科学的なアプローチと、真実を隠蔽しようとする政府の影。彼女の重厚な存在感が物語に説得力を与える。
【SF】知的好奇心を刺激するテーマが好きな人向け。
GAは、専門家として若者を導く役。ちょっとウィッグが気になるけど(笑)UFOと言っても、X-Filesとは違うテイストで楽しめる。
視聴方法
配信中の作品一覧
おわりに
まだまだジリアン・アンダーソンの作品数は増えそうで、これからも楽しみです。
出演作が多く、日本では視聴が難しいものもありますが、ぼちぼち追いかけてみたいと思います。
おすすめの記事
X-FilesでGAにハマるか、GAを知ってX-Filesを観るか。いずれにしても彼女の出世作と言えばこれ以外にありません。





