『The X-Files(X-ファイル)』2016 シーズン10の全話の感想をまとめています。
短期集中型でテンポの早いミニシリーズ。昔からのファン向けの仕掛けが多く、懐かしさと新しさが半分ずつ。
※内容に軽く触れている部分があるので、未視聴の方はご注意ください。
The X-Files Season 10 全6話
2016/01/24〜02/22 (USA)
オープニングは初期バージョンに回帰!スキナーが追加されている以外は、あの頃のまま。この件についてジリアンが特典ディスクでコメントしてましたね。
過去のエピソードを知る人だけが楽しめる小ネタの嵐。死んだはずのローン・ガンメンまでなぜか登場。
もちろん初めて見る人にも親切設計で、第1話冒頭で23年分の出来事を一気に説明してくれる。見逃すな!
主要キャラクター紹介
主な登場人物の基本設定とひとこと解説を載せています。
The X-Files 10-01 My Struggle 闘争 Part1

モルダーとスカリーが再結成。そして、真実はどこにある?
Web番組のキャスターで陰謀&超常現象マニアのタッド・オマリー(Tad O’Malley)から呼び出しを受けた2人は、彼の案内で何度もアブダクト(誘拐)被害に遭ったという女性スヴェタ(Sveta)に会いに行く。スヴェタの証言を重ねて聞くうちに、モルダーは「これまでのエイリアン陰謀論の裏には、実はアメリカ政府の極秘プロジェクトがあった」という説こそが真実だと信じ始める。そして、その陰謀にスカリー自身も巻き込まれていることが明らかになっていく…。
ブレないモルダー健在
陰謀論の認識は新たにしたものの、変わらぬ一面も健在。オマリーに連れて行かれた先でモルダーが見た“アレ”と、その時の顔がまさにモルダーしてた。
信じられないものを見たときの、あの少しニヤつく表情は健在だ。
そして相変わらず、スカリーがファーストネームで呼ばれると敏感に反応。今回もオマリーが呼んだ分だけ、しっかり呼び返すんダナ。(ダジャレか?)
スカリーからの電話を受けるシーンでは、ノートPCのカメラがしっかり塞がれているのも彼らしい。そんなモルダーに私からはこれをおすすめする。
スキナーに呼び出されFBI地下室へ行くと、そこには何もない。ただし床に置き去りのポスターと天井の鉛筆はそのまま。
もともと倉庫だったとはいえ、14年間もX-Files部屋がそのままとは…FBIって…。
モルダーは「ファイルを見に来たのに何もないじゃないか」とスキナーにあたる。「俺のせいかよ」とスキナーも言い返す。旧知の仲。
そうか!モルダーはシーズン9でこの部屋に来ていなかったから、資料が全部持ち去られたことを知らないんだっけ。でも、当時ドゲットが丸めて持ち去ったはずのポスターが、なぜ今ここに? 謎。
いちばんの謎
ポスターよりも衝撃だったのが、ラスト数秒で現れたアイツ──CSM! 嘘でしょ?
シーズン9ラストのあの爆発でも生きていたとは…。まさにゴキブリ並みの生命力。
どうやって生き延びたのか、もはや説明する気があるのかすら謎。
おかえりなさい!待ってたよ
多少の違和感はあるけど、あぁ本当に帰ってきたんだね、2人。
デイヴィッド・ドゥカヴニーのモルダーは『カリフォルニケーション』撮影中に抜け出してきたような風貌だし、ジリアン・アンダーソンのスカリーは医師というより『THE FALL 警視ステラ・ギブソン』の雰囲気を残している感じ。でもスキナーだけはずっと待機してました、という安心感。
14年ぶりというけれど、間に映画があるから、正確には8年くらい?まぁ、みんなそれなりに歳はとっているわけだし…と思ったら、クリス・カーターだけは相変わらずでびっくり。エイリアンDNA保有者?
スカリー登場シーンのヘアスタイルは、撮影スタッフの間で「海老天」と呼ばれていたそうで…。言われてみれば確かにそう見える。主役の髪で遊ぶな〜!楽しそうだけど(笑)
そのスタイルについて「あれはなんて言うの?」と質問するクリス・カーターも微笑ましい。
そしてスマホ、使ってましたね〜(当然)。
The X-Files 10-02 Founder’s Mutation 変異
ヒゲを剃って、今日はスーツなんだね、モルダー君。フェッズ(Feds)だね。
X-Files再開後最初の事件は、第1話と少しつながりのある内容。
胎児に異常があると診断された妊婦たちが、先日までスカリーが勤務していた Our Lady of Sorrows Hospital に集められている。しかも、生まれた子どもたちは感染の危険がないのに、ひとりずつ病室に隔離されているのだ。
父母それぞれのウィリアムを思い描く(妄想)シーン
胎児の異常といえば、2人が泣く泣く手放した息子ウィリアム。
今は15歳になっているはずの彼が、モルダーとスカリーそれぞれの妄想シーンに登場するのが切ない。
モルダーの妄想シーンでウィリアム役を演じた子役がかわいいな〜と思っていたら、実は女の子。なぜかというと、各年代のウィリアムを兄弟で演じていて、一番下の子が女の子だったからだそう。
病院内を案内してくれたシスターも見覚えが…。
「2-13 Irresistible フェチシズム 」など、過去に何度か登場しているスカリーのカウンセラー役の女優さんでした。
14年で変わったこと
14年の間に、世の中は本当に進歩した。映像もそうだし、劇中の設備も様変わり。
注目はスマホ。X-Filesを見始めた頃でさえ、携帯電話はすでに古く感じていた。それが今や、2人がスマホを使いこなしている! モルダーなんて、死人の指で指紋認証を解除してたよ…。当時(2015〜2016年頃)のスマホは、生体反応がなくても反応してしまう仕様だったのか?
ちなみにこのエピソード、本来は第5話として放送予定だったものが第2話に繰り上げられたそう。確かにストーリー的にもこの順番のほうがしっくりくる。
The X-Files 10-03 Mulder & Scully Meet the Were-Monster トカゲ男の憂鬱
ある日突然、「不本意ながら人間になってしまった」トカゲ男が主人公のエピソード。
モルダーはいつものように自分のデスクに座り、おなじみの黄色い鉛筆を、今回は天井ではなく壁のポスターに向かってダーツのように投げている。そこへスカリーが登場。相変わらずスカリー専用のデスクはなく、いつものようにモルダーのデスク前の椅子に腰かける。
すると、堰を切ったようにモルダーが話し始める。まるで14年分のブランクを埋めるかのように止まらないおしゃべり。その内容は自己否定のオンパレード。もちろん彼は自分大好きだから本気で自分を否定しているわけじゃないけれど、これまで追いかけてきた謎がすっかり解決されてしまったと嘆くのだ。
面白すぎるぞ、モルダー君
冒頭からコメディの香りが漂うのもそのはず、脚本・監督はダリン・モーガン。小ネタの連発で息つく暇もなく笑いっぱなし。いつものように “Stupid Mulder” が見られるだけでなく、今回はモルダーのセリフ量がとにかく多い。
スマホの機能を使いこなせていないモルダーや、マジシャンのように酒瓶や銃を取り出すキャラクターたち。モーテルのシーンでは、モルダーが自説を熱弁するのを聞いて、スカリーが「私の好きなモルダーだわ」と言う場面も。この時のスカリー、ほんとにキュート!
モルグでは、2人のこんなやり取りが…
You’re really enjoying yourself, aren’t you Scully?
(楽しいだろ、スカリー)
Yeah, I am. I forgot how much fun these cases could be.
(ええ、この楽しさを忘れてたわ)
スカリーの答えは、まさに観ているこちらのセリフ。

そして、極めつけのスカリーの一言
You forget I am immortal.
(私が不死身だってこと忘れたの?)
そうなのよ、「3-04 Clyde Bruckman’s Final Repose 休息」と「6-10 Tithonus ティトノス」で確定してるんだもんね!
キム・マナーズの墓石や、この作品にジリアンの長女パイパーちゃんが参加していることを知って感慨深い。考えてみれば、もう彼女も立派なオトナだものね。
デイヴィッド・ドゥカヴニーとジリアン・アンダーソンも参加しているオーディオコメンタリーは、「スカリーのパンツがタイトだ」とか「モルダーのネクタイが短い」といったツッコミで大盛り上がり。
詳しくはこちらをどうぞ。
The X-Files 10-04 Home Again バンドエイド・ノーズ・マン
スカリーのママ(Maggie)が、メリッサたちの元へ旅立ってしまう話(涙)。
人が引き裂かれたように殺害された事件現場で捜査中、スカリーの兄ビル(William Jr.)から電話が入る。ママの危篤の知らせだった。急いで現場を離れ、病院へ向かうスカリー。到着すると、看護師から「マギーが末っ子のチャーリーに会いたがっている」と告げられる。
悲しすぎる…久しぶりに会えたのに、ママは意識不明の状態。
スカリーのママ、好きだったのになぁ。そして、とうとう謎の弟チャーリーの声を聞くことができた(姿は今回も不明)。彼はこれまで家族の集まりにも姿を見せなかった人物だった。
ママは最後にモルダーへ「私の息子もウィリアムだった」と告げる。スカリーはその言葉を聞き、深く考え込む。
回想シーンのモルダー、若い!顔の幅が今の半分くらいしかない細さ。あの頃はロープウェイのスタントも本人がやっていたんだよね。またシーズン1を観返したくなってきた。
もしこのエピソードに「バンドエイド・ノーズ・マン」という邦題がなかったら、英題 “Home Again” から、あの「4-02 Home ホーム」が再び蘇るのかと勘違いするかも。さすがに6話しかないこのシーズンにあの話を入れてくるとは思わないけど、もし入ってたら怖すぎる。
そうじゃなくてもこのエピソードは怖いのだ。個人的にはシリーズ1怖いと思っている。
そしてますます、2人の息子ウィリアムの今が気になる…。
ついでに、スカリーの胸元が開きすぎているのも気になる…。
The X-Files 10-05 Babylon バビロン
もう、ローン・ガンメンを登場させるために無理やり作ったでしょ!?と思わず突っ込みたくなるエピソード。
今回は、モルダーがまたしてもラリっちゃいます。そう、マジックマッシュルームで――。
「モルダー」「マジックマッシュルーム」「ラリっちゃう」といえば、真っ先に思い出すのは「6-21 Field Trip トリップ」のおもしろエピソードですが、今回はちょっと重めのストーリー。(作りは軽いけど)

X-Filesでも自爆テロの話題が登場します。実行犯の一人が生き残ったものの、瀕死の状態で話を聞くことができない。そんな中、さらなるテロを防ぐため、若いFBIエージェントのペアがX-Files課を訪れる。若い男女のコンビで、まるでモルダー&スカリーのコピーのような2人――信じる系のエージェント・ミラー(Miller)と、赤毛のドクター・アインシュタイン(Einstein)。
スカリーはミラーを誘い、最新の科学技術を駆使して真面目に情報を得ようとする。一方モルダーはアインシュタインを誘い、ドラッグを使って自分が霊媒師のように実行犯から話を聞くという、かなり突飛な提案をする。
シリアスパートはスカリー、おもしろパートはモルダーが担当。2人の対比が絶妙。
結局、モルダーの作戦が成功し…。
事件解決後、モルダーの家にスカリーが現れる。青空の下、2人が手を取り合い見つめ合うシーンが印象的。
そして、スカリーが23年間ずっと言いたかったという名セリフがこちら。
Nobody but the FBI’s Most Unwanted.
(ここにはFBIの嫌われ者しかいないわよ)
この回に登場したミラーは、ドラマ『アップロード』で主演を務めるロビー・アメル(Robbie Amell)。興味がある方はこちらもどうぞ。
CSM役のウィリアム・B・デイビスも出演しています。
The X-Files 10-06 My Struggle II 闘争 Part2
「10-01 My Struggle 闘争 Part1」の続き。
冒頭、今回はスカリーのナレーションで23年間を振り返る。
オープニングのスローガンは
THIS IS THE END
「今回のシリーズは、7エピソードの予定だった」 by クリス・カーター
ってそういうこと!? と思うエピ。
タッド、ミラー(Miller)、アインシュタイン(Einstein)が再び登場。もちろんCSMも。
そして、モニカ・レイエスが、なんとCSMチームの一員としてスカリーに連絡をしてきた!
「2012年からカウントダウンが始まっていて、もう戻れない」とスカリーに告げる。
アメリカ全土で謎の病が発生し、街はパニックに。
「刻々と増える患者を救えるのは、エイリアンDNAによるワクチンだけ」
という言葉が、まさかのスカリーの口から飛び出す。そして、そのDNAを持っていないモルダーは発症してしまう。そんな体でCSMの元へ向かうと、CSMが救いの手を差し伸べるが、モルダーは断固拒否の構え。
一方スカリーはワクチンを手に交通渋滞をくぐり抜けモルダーの元へ向かうが、ようやく出会えた時にはモルダーは瀕死の状態。もはやワクチンでは回復が期待できない。
「ウィリアムがいれば助かるかもしれない…」
とスカリーが言うと間もなく、上空に謎の飛行物体が現れる。
ラストの光を見上げるスカリー、まるで 「5-13 Patient X ペイシェントX」の時みたい。
続きは?
えーーー、ウソ、ここで終わりますか!?
うわー、普通だったら完全に次のシーズンへ続く…の展開でしょう。
7話で終わる予定ってそういうことだったのか?
すでにこの時、シーズン11の企画は決定していたのかな?
だったら納得。とはいえ、2年後って長すぎでしょ。
ところで終盤の「インディペンデンス・デイ」ばりの渋滞演出。クリス・カーターって過去にあの映画を馬鹿にしていませんでしたっけ?
と、疑問形で終わってみる。
X-Files 視聴方法
配信で観る
ディスク版で特典を観る
特典ディスクの魅力的な内容は、こちらで詳しく紹介しています。
X-Files関連グッズ紹介
観るだけじゃ物足りない方に向けて、おすすめグッズもまとめました。
ほかにも、実際に私が使っているXF関連モノや、ちょっと気になるアイテムを楽天ROOMにまとめているので、ぜひご覧ください。
おわりに
X-Files シーズン10の感想
CSMがシーズン9の爆発で生き残っていたのも信じられないし、CSMにDNA移植していたはずのモルダーが感染するのもよくわからない。てっきりモルダーもエイリアンDNAを保有していると思っていたのに。
なんだかいろいろ疑問が残るけど、続きが作られていてよかった…というシーズンでした(笑)
そしてラストの展開、これはもう完全に次シーズンへの予告。S11が2年後とわかっていても、待たずにはいられない終わり方です。
シーズン9くらいから、少しずつ変化しているモルスカの関係性。
シリーズが始まった頃は、圧倒的にスカリーのママ感が強かったけれど、年を追うごとにモルダーの包容力がアップ(当社比)している。これも見所としておさえておきたい。
次のシーズンはこちら
次シーズンへ。引き続き、ゆるっと進めていきますので、よろしければお付き合いくださいませ。
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