「The Closer」の終盤には、すっかり視聴者にはおなじみとなったシャロンがチーフとして登場。
「Major Crimes」では彼女に何が起きたのか?
最後の展開と、演じたメアリー・マクドネルの降板の謎までまとめました。
シャロン・レイダーとラスティの関係性
シャロン・レイダーは、目立つタイプではないけれど、理想の上司像のひとつだったのでは。
そしてもう一人の主役、ラスティとの関係性がこのドラマの見どころだったと感じます。
それでは、順にどうぞ!
Major Crimes シーズン 1
全10話と短めでテンポは速め。
誰かと思えば…な登場
若干メンバーの入れ替えはあるものの、「The Closer」でおなじみのメンバーが、おなじみの部署で、おなじみの仕事に取り組む日々。ただ、ボスがブレンダからシャロンに変わったことで、逮捕のやり方も変化した。
初回では、ブレンダの置き土産をフリッツが回収するなど、新旧交代を感じさせる演出も。
当初のシャロンは、チーフというより「外部から来たお目付け役」といった印象が強く、完全に四面楚歌状態。特にプロベンザの反発はすさまじかった。
それでも、シャロンは常に落ち着いて、きちんと話を聞き、きちんと自分の考えを伝える。
振り返ってみると、この時点から彼女のスタンスはまったくブレていない。
ラスティとの距離もまだ遠く、保護してきた「同居人」といった空気感だった。
Major Crimes シーズン 2
シャロンはやっぱり「愛の人」。シャロンとラスティの絆が深まったシーズンでした。
サイクスはシーズン1では浮いた存在だったけど、すっかりいい仕事をするようになって、ちょっと寂しい。その代わりに、ラスティの事件に関わる検事エマが登場するんだけど、
うっとーしいわー、この女
っていう最高のポジションでしたね、彼女。
相変わらずフリッツも時々登場し、「ブレンダがいたら…」なんてセリフもあって、スピンオフ感がしっかり出てくる。十分面白いので、前作に頼っている感じはなく、あの事件が続いているんだなという印象。
ブレンダもシャロンも仕事のできる人だけど、全くタイプが違うから、ほぼ同じキャラたちがいる同じセクションのドラマでも、こうも違うものかと感心する。
ブレンダは夢中になると止められない、子どもみたいな愛すべき人だったけど、シャロンは全体をよく見ていて、愛情深い母のような大人の女性。なぜかだんだんラスティに感情移入して見ちゃったりして…。
ラスティとの関係が動き出す
シャロンはまだ少しぎこちないけれど、ラスティが心を開いていく過程が丁寧に描かれていて、見ていて嬉しくなる。
一方で、仕事ではまだまだ波風がある。
でも、プロベンザとの関係にも変化の兆しが見え始め、少しずつ「嫌っているわけじゃない」という空気が漂ってくる。
普段は冷静なシャロンが感情を抑えきれなくなり、でも爆発せずに上手く表現するところは、メアリー・マクドネルのすごさを感じる。さすが「拳を握り立つ女」(ダンス・ウィズ・ウルブス)だわ。あの役も上手かったもんね。
このあたりから、シャロンが人にも物事にも「正面から向き合う」人なんだな、というのがはっきりわかってくる。
Major Crimes シーズン 3
ラスティとの距離が縮まっていくシーズン。
シャロン保護者から母へ
学校や恋愛のこと、将来の進路まで気にかけるようになり、もう完全に家族。
でも、やたら干渉するわけでもなく、見守るという絶妙な距離感がとにかく心地いい。
本当の親子のように信頼を深めていたシャロンとラスティの前に、もう一人のシャロンが現れる。そう、ラスティの生みの母だ。ラスティはその事実をなかなかシャロンに伝えられずにいる。プロベンザに相談するも、「自分の口から早く伝えろ」と言われてしまう。
職場でも、部下からの信頼がじわじわと伝わってくる。
プロベンザの相変わらずぶっきらぼうなセリフとは裏腹に、シャロンへの信頼がちらりと見え始めて、思わずニヤリ。
とうとう、シャロンとラスティは本当の親子に! そして気づけば、シャロンはみんなの“ママ”にもなっている(笑)。
最終話はもちろんストローとの対決。ラスティがまたもや危険な目にあう。2話連続のスペシャルなのに、きっちり決着がつかないまま終わってしまい、ぁうぁうぅぅ…と悶々とするのであったー。
Major Crimes シーズン 4
家庭パートの比率が徐々に増えていくシーズン。
「なんでこれが重大犯罪課の担当なんだよ」
今シーズンも、もちろんプロベンザのボヤキからスタート。やっぱりコレを聞かないと始まらない。
さて、ストローとの対決をどこら辺までひっぱるのでしょうか。最終話だろうなぁ。
「家庭」も「現場」もこなす女
シャロンはラスティのことが心配で、寝不足の日々が続いている様子。こっそり護衛までつけているけれど、結局ラスティに見破られてしまう。
成長したね、ラスティ!
そして、バズがなんと警官に!
わーい!おめでとう!……といっても、まだ見習い中だけど。でも、カメラ係から一歩前進だね。
アンディとシャロンは“世間が言うロマンティックな店”でデート♪
どうなるのかなと思っていたら、本気で付き合うことに。しかも上司にもきちんと報告しているあたり、さすがルール厳守のシャロンだわ。
なんて、喜びもつかの間、アンディが捜査中に怪我を負ってしまう。もともと健康面に不安があったのに、血栓ができたりして……。
でも、そのおかげでアンディはシャロンの家にお世話になることに。恐縮しつつも、どこか嬉しそうなアンディってば呑気。
緊急手術を受けることになった時は、「死亡」の文字が頭をよぎり、どうなることかと本気で心配しました。
家庭と事件をしっかり両立するスーパーウーマンぶり。このあたりが、仕事はめちゃくちゃできるのに私生活はボロボロなブレンダとは全然カラーが違っていて、そこがまた面白いところ。
ラスティはセクシャリティのことや自分の将来について悩むようになり、シャロンはそれを黙って支え続ける。もうこの時点で、完全に「母」だよね。
それでいて、チームの事件にも真正面から向き合い、政治的な駆け引きもこなすあたり、本当に超人的。
Major Crimes シーズン 5
ハッピー・ウェディングとシャロンの病。プライベートも賑やかになってくるシーズン。
エピソードもバラエティに富んでましたな。
- ドクター・ジョーのショッキングなエピソード
- バズのパパ殺しの犯人探し
- シャロンとフリン新居探し
- フリオの養子縁組の審査
- ラスティの恋愛と異父兄弟の話題
- 大規模な人事異動
でも、やっぱり気になるのは、例のアイツのことよねぇ。
不穏な空気、そして転機
フリオの養子縁組の件では、フリオの養父としての適性を調査しに来た職員・シンシアのインタビューに、チーム全員が援護射撃。中でも、ラスティが彼女に伝えた言葉には思わず涙。親に恵まれない子どもの気持ちを、彼自身の経験から語る場面が胸を打つ。
でも、ラスティは生まれてくる自分の兄弟については、まだ心の整理がつかない様子。自分を虐待した男と実母の間に生まれる子どもに対して、どんな感情を持てばいいのか、コントロールできずにいるのも無理はない。
最後はシャロンの昇進で幕。フリンとの関係はまだしばらく進展しないみたい。そのかわり(?)、ラスティとガスの遠距離恋愛が、限りなく発展的な“破局”のような形でスタート。
そして、例のアイツことフィリップ・ストローは、今回も前回同様、フリッツからシャロンへの連絡事項という形で、セリフだけで居場所が伝えられるのみ。ストロー役の俳優さん、別の仕事で忙しかったみたいだしね。次のシーズンでは、いよいよ1話目からストロー絡みのエピソードがあるらしいので、ついに本格登場?!
ラスティはジャーナリスト志望となり、物語の中でも少しずつ自立していく。その姿を温かく見守るシャロンもまた、印象的。
フリンとの距離もぐっと縮まり、シャロンの柔らかい表情が増えていくけれど、この頃から健康面の不安がちらちら描かれ始め、視聴者としては「えっ、やめて……」とハラハラしてしまう。
Major Crimes シーズン 6(最終章)
ファイナルシーズンはちょっとイレギュラーな構成で、シーズン通して3つのエピソードのみ。
最終シーズンはシャロンの「決意」の強さを感じる、なかなかのヘビーさ。
ハッピー・ウェディングとシャロンの病
病気を抱えながら、でも最後までなにひとつ投げ出さない。丁寧。
誰よりも冷静で、誰よりも優しくて、でもどこか儚さが漂ってる。
Sanctuary City Part 1-5
シャロンとフリンの結婚の日取りが決まっている前提で物語が進んでいく。
「スローンがやってきますよ」という告知もあちこちで見かける。
シャロンの体調がすぐれないことを、何かと強調するシーンが続く。
ラスティはガスのことが忘れられず、未練たっぷり。なぜかガスの上司のインスタをフォローして、アップされる情報を見ては落ち込むという自傷行為。シャロンにも呆れられてしまう。
スローンの元義母を含む5人の犠牲者が出たことで、ラスティの身にも危険が及ぶ恐れがあり、護衛をつける話が急浮上。
ラスティは「自分の身は自分で守る」と言って、シャロンの許可を得て銃を手に入れる。
FBIの裏切りに、シャロンが声を荒げる。そして、ついに倒れてしまう!?
シャロンの病気は心筋症。
原因によって治療法が異なるらしいが、「移植」なんて言葉も出てきて、どうやら状況は深刻そう。
夫婦(厳密にはまだだけど)そろって心臓病なんて……シャレにならない。
事件が一件落着したあと、シャロンとフリンは無事に挙式。めでたしめでたし。ガスもちゃんと来てくれたよん。
別れ話が延々続く
私が見ておいたから、みんなは見なくていいよ〜的な感じかなと適当に見ていたら、とんでもないどんでん返し。
Conspiracy Theory Part 1 – 4
ガスは浮気をして、相手に捨てられた挙げ句、ラスティのもとに戻ろうとする。
ラスティはガスの浮気相手を退治したものの、ガスを許せず、受け入れられないでいる。
ラスティは3年で大学を卒業し、シャロンは大喜びで号泣。
いよいよスローンの登場。シャロンとの最終決戦が始まるんだろうなと思いきや、
まさかのシャロン死亡!?
うわー、主役が死ぬなんて、X-FILESくらいしかないと思ってた。しかもあっちはいくらでも生き返る方法があるのに対し、こっちは夢オチくらいしかなさそうなタイプのドラマ。しかもそんなタイミングで。
大胆な展開だ。
シャロンからのメッセージそして最終決戦
ラスティとのやりとりは、何気ないセリフひとつひとつが刺さる。
本当に、シャロンの態度はいつも「母」の大きな愛っていう感じだった。
By Any Means Part 1 – 4
シャロンの遺言ビデオと葬儀からスタート。涙が止まらない。
スローンの手口がようやく明らかになる。
そして、処刑の時が訪れる…。
これまで神業のような犯罪を繰り返してきたスローンだけど、実際に犯罪シーンが描かれたのは前回の逃亡時くらい。ファイナル・シーズンでは、自ら手を下す姿が事細かに描かれた。正直、がっかりするほど小物だったけど、犯罪者なんて所詮そんなものかもしれない。
ただ、ラストに関して言えば、
ラスティの気持ちはわかるけど、ちょっとやりすぎた感がある。シャロンが生きていたら、どうしていたんだろうと思う。
この結末を作るにあたって、シャロンが生きていると辻褄が合わなくなる…だからこそ、シーズン途中でシャロンが退場したのかな。汚い仕事は全部プロベンザが引き受けてくれた。
賛否はあるだろうけど、私はこの終わり方にしたからこそ、最後までシャロンのキャラクターを一貫して描けたんだろうと思う。
もし何かに疲れて泣きたくなったら、ファイナルシーズン第9話をぜひ見てほしい。シャロンからのビデオメッセージが、号泣のスイッチを押してくれます。
演じた女優メアリー・マクドネルの病気説と降板理由
最終章でのシャロンのあの展開、どうして?と気になっている方も多いと思います。(私もその一人)
実は制作側の意図や、女優メアリー・マクドネルの事情については、公式に明確な情報が出ていません(少なくとも私が調べた範囲では)。
ここで書けるのは、現時点で分かっている事実だけです。
憶測ではなく公式発表や放送内容をもとに時系列でまとめています。
理由を探しに来た方には少し物足りないかもしれませんが、
この機会にシャロンを中心とした残りのシーズンを見直すのもおすすめです。
The Closer時代のシャロンも見どころがありますよ。
おわりに
「Major Crimes」は事件解決ドラマだけど、シャロン・レイダーという一人の人間の生き様が深く刻まれた作品でした。
彼女が言葉ではなく態度で信頼を勝ち取っていく姿、家族としての責任を受け止める姿、穏やかで愛情深い姿が心に残ります。
派手じゃないけど、忘れがたい。
このレビューが、もう一度観たくなるきっかけになればうれしいです。
シャロンが重大犯罪課に来るまでの軌跡が気になったら、こちらの記事がおすすめです。
シャロンシリーズは卒業して、次のシリーズに進みたいという方はこちらの記事がおすすめです。