IMAX対応の注目作品が公開されたのを機に、同一作品を4つのスクリーンで観比べてみました。
TCX®、IMAX®レーザー、その最上位にあたるIMAX GT、そしてScreenX®。
せっかくなら一番いい環境で観たい——そう思って劇場のフォーマットを調べはじめると、種類が多すぎて
「結局どれを選べばいいの?」
となりました。同じ思いの人も多いのでは?
この記事は、その問いにまるごと答えるために書きました。
席のグレードは実質的に上位で揃えていますので、「席が良かっただけ」というブレを抜いて、純粋にスクリーンと音響そのものを比べています。
「IMAXとScreenX、どっち?」
「IMAXレーザーとScreenXの違いは?」
「いつものスクリーンとIMAXってそんなに違う?」
どの組み合わせで迷っていても、あなたにあうスクリーンが見つかるはずです。
まず30秒:4方式ミニ早見表
細かい話の前に、ざっくりの結論だけ置いておきます。詳しくは各セクションで。
| 方式 | ひとことで | 追加料金の目安 | こんなときに |
|---|---|---|---|
| TCX(+Dolby Atmos®) | 「いつもの」よりちょっと大きい | 通常料金〜(+200) | 内容をシンプルに楽しみたい |
| IMAXレーザー | 手堅い王道。ハズレなし | +500円〜 | 迷ったらこれ(万人向け) |
| IMAX GT | 縦に圧倒される最上位 | +700円〜 | 没入を最大化したい |
| ScreenX | 横に包囲される場面特化型 | +700円〜 | 水中・群衆包囲などが多い作品 |
TCX:「いつもの」安定感
まずは基準から。TCXは、シンプルなスクリーンよりはやや大きいものの、体感は「映画館って言えばコレ」のイメージそのもの。みんなの共通認識的なスクリーンサイズ。
これがひとまずの「完成形」と位置づけるところから、観比べ検証スタート。
ここからどれだけ進化していくか(画が広がり、音に包まれるか)で、上位フォーマットの価値が測れる。
逆に言えば、TCXで十分に楽しめる作品なら、無理に追加料金を払わなくてもいい、という判断もできる。
音響はDolby Atmosであれば、頭上からも音が降ってくる立体感がある。
後で出てくるIMAXの音響と比べると、ここが一つの分かれ目になった。
※劇場によっては、Dolby Atmosもオプション料金が発生します。
IMAXレーザー:手堅い王道
TCXから一段上がると、IMAXレーザーになる。結論から言うと、いちばんハズレがないのがこれだった。
スクリーンは縦に広く、視界にしっかり収まる。
前方の座席でないかぎり、視線を左右に振らずに全体が目に入ってきて楽。画質はGTのような最上位機と並べても、正直そこまで大きな差は感じなかった。つまり「IMAXの体験」としては、レーザーの時点でほぼ満たされる。
意外だったのが音響。
爆音になることを覚悟していたが、IMAXの音はDolby Atmosより耳に優しかった。でありながら、細かい音も表現されて、映像と音のシンクロ具合や包まれ感も◎。「大きいのに痛くない」——この塩梅が良かった。
劇場内の座席の傾斜があればあるほど、後方座席では視線をわずかに下げる姿勢でスクリーンが収まり、さらに快適になる。
迷ったらIMAXレーザー、というのは観比べたあとでも変わらない結論。
IMAX GT:縦に圧倒される最上位の没入感
ここからが特別な体験になる。IMAX GTは、IMAXの中でも最上位にあたる規格で、国内にわずか2館(東日本・西日本に1館ずつ)しかない。
何が違うのか。
対応作品なら、いちばん縦に広いアスペクト比(フルフレーム)で観られる。
今回の作品は一部のシーンがこの拡張比で撮影されていて、その場面になった瞬間、画がぐわっと上下に開く。スクリーンの中の世界に、自分が入り込んでいるような没入感だった。
ファイトシーンだけではない。飛行中の映像や、広い宮殿のような空間がとにかく圧巻で、テーマパークのライドアトラクションのような臨場感がある。揺れているわけではないのに、三半規管が弱い人は酔うかもしれない、と本気で思ったほど。
席選びについては後半で詳しく触れるので、ここではひとつだけ。
中央〜やや後方エリアなら首を左右に振らずに全体を見渡せて快適。前方はスクリーンが広すぎて疲れるので、できれば避けたほうがいい。
ScreenX:横の包囲、場面特化
ScreenXは、これまでの3つとはまったく別の軸だった。
正面に加えて左右の壁にも映像が広がり、270度の視界で包み込まれる。IMAXが「飲み込まれる」なら、ScreenXは「抱きこまれる」。
正直、スクリーンとしての評価は難しい。
高さがないので、縦はTCXと同様の映像だということ。
なので、森や宮殿、空中シーンのような「広い空間・高さがあるもの」の見せ場では、GTの圧倒感には勝てない。
一方で、横に広がるため部屋の奥行きなど、閉ざされた空間の映像が没入ポイントだった。特に水中シーンの没入力はダントツで、本当に自分が水中にいるような感覚になる。これは、GTにはない優位性だった。
惜しむらくは、ScreenXは湾曲ではなく平面が3面で、面と面の間に継ぎ目が残る。なので、どうしても継ぎ目が出来てしまうのが気になってしまう。「湾曲だったら……」と。
つまりScreenXは、作品の中身しだいで輝きが大きく変わる場面特化型だ。水中、コンサート、広大な見せ場など包囲系の演出がある作品なら唯一無二。そうでないなら、第一の選択肢にはならない。
音響だけ横断で比べる
スクリーンの話がメインだけれど、付随している音響システムの話も少しだけ。
スクリーンを比較しに行ったのだけど、意外な発見が音だった。
「最上位=いちばん爆音」ではない。むしろIMAXのほうが音量のコントロールが効いていて、耳への負担が少なかった。音に敏感な人にとっては、ちょっと気にしておいたほうがいいポイントかも。
全部入り:総合比較表
ここまで見たけど、結局どれがいいのか、まだ迷う人のために4方式を一枚に並べてみました。
どの組み合わせで迷っていても、この表で自分の答えにたどり着けます。
| 比較軸 | TCX | IMAXレーザー | IMAX GT | ScreenX |
|---|---|---|---|---|
| 画の広がり方 | 標準 | 縦に広い | 縦に最大 | 横に270度 |
| 最大アスペクト比 | 通常 | 1.90:1 | 1.43:1 | 前面+左右壁面 |
| 没入の方向 | 標準 | 王道の没入 | 圧倒的な没入 | 包囲の没入 |
| 強いシーン | 万能 | 万能 | 巨大・空間 | 水中・包囲 |
| 画面の連続性 | 継ぎ目あり | |||
| 音響 | Atmos(大きめ) | IMAX(程よい) | IMAX(程よい) | Atmos(大きめ) |
| 追加料金の目安 | 〜 | +500円 | +700円 | +900円 |
| ひとこと | いつもの | 迷ったらこれ | 最上位の圧倒 | 場面特化 |
結論:どれが良かったか
4つ観比べて、いちばん心を持っていかれたのは予想通り IMAX GT でした。
縦に開く圧倒感は、唯一無二。「特別な一回」にするなら、間違いなくこれ。
とはいえ、GTは国内2館だけ。USJとTDR的な存在。誰でもいつでも気軽に行けるわけではありません。
なので、自分が行ける劇場の中で最適を選ぶのがおすすめです。
「最高料金の席=最高の体験」ではない、という点も添えておきます。映画館の価格はおもにシートの快適さで決まっていて、肝心の視聴体験(視野・音響)とは別の軸だからです。
価格と体験は比例しない
メタな結論として言えることがあります。
スクリーンのグレードと座席の価格は、必ずしも比例しません。理由は単純で、運営する会社ごとに価格設定の考え方が違うから。座席の価格だけを「値段が高い順=良い順」で横並びに比較することはできないということです。
コスパ術をひとつ。
安く良い体験をしたいなら、上位グレードシートのすぐ近くにある通常席を狙うといいと思います。運営が「ここがベスト」と考えている位置の周辺だから、視野も音響も良いことが多いです。まぁ、みんな同じことを考えるので混むのが玉に瑕ですが。
結局のところ、作品ごとにスクリーンを選ぶのがいちばんコスパが良いです。
中身に合わせて器を変える、これに尽きます。
おわりに
今回、同じ作品を4つのスクリーンで観比べてきました。同一作品を公開中に4回も観るとは自分でも思っていなかったのですが。
わかったことはシンプルで、
「いちばん高度な技術」を選ぶことより、「自分が観たい作品に合った方式」を選ぶことのほうがずっと満足度を上げる、ということです。迷ったらIMAXレーザー、特別な一本ならGT、包囲が効く作品ならScreenX。この記事の早見表と比較表が、あなたの劇場選びの参考になればうれしいです。
今回私が視聴した作品は、どのスクリーンでも最高に楽しかった。
これだけは揺るぎないものです。同じ作品を4回観て言ってるんですから間違いありません(笑)
最後に、今回のスクリーン比較実験のモルモットにした「その作品」ですが……レビューをこちらにまとめたので、よかったらどうぞ。
おまけ:観るなら「出世魚」
最後にひとつだけ、観比べてみたい物好きな人(いるかな?)に向けてコツをお伝えします。
複数フォーマットで同じ作品を観るなら、小さいスクリーンから順に「出世魚方式」で上げていくのがおすすめです。
TCX → IMAX → ScreenX → IMAX GT
という具合に。
IMAX と ScreenX は、観る作品が「縦」「横」のどちらが強いかで順番を入替えてください。
理由は満足度の設計にあります。初見はスクリーンより内容そのものが新鮮なので、小さい画面でも満足度は下がりません。そこから回を重ねるごとに画面を大きく・没入を深くしていくと、満足度が右肩上がりになります。
「お気に入りの1本」に出会ったら、ぜひ試してみてください。
4回観たい作品に出会えただけで、ラッキーの始まりです。現場からは以上です。


