最終回を観たあと、しばらく何も手につかなくなること、ありませんか。
面白かった。でも、終わってしまった(抜け殻)。
そういうときに「海外ドラマ おすすめ」で検索すると、ジャンル別のランキングが出てきます。ミステリー、コメディ、SF……なんだろう?なんか違う。
観たいのはジャンルじゃない。あの感じの続きです。
この記事では、作品を「味」で選びます。全部、実際に最後まで観たものだけです。
好きだったのは たぶん「話」じゃなくて「味」
ラーメンが食べたくて出かけていったらお店が休業だった。じゃあ、サンドイッチ食べようってならないですよね。だって今「ラーメンの口」になってるから。
ドラマも同じで、欲しいのは「ストーリー」ではなく、観ているあいだずっと感じていた美味しい味のほうです。あらすじが似ている作品を勧められてもピンとこないのは、たぶんそのせい。
というわけで、3つに分けました。自分の味に近いところから読んでください。
- 謎を追いかけ続ける快感
『Xファイル』を観ていた人へ - チームと人が変わっていく温度
『MAJOR CRIMES』『クローザー』を観ていた人へ - 切れ味のある会話劇
『SUITS』を観ていた人へ
それぞれ3本ずつ。醤油ラーメンが好きな人に、塩と味噌も試してみませんか、くらいの距離感です。
そこに1本だけ、同じ店の焼きそばを混ぜてあります。ラーメンではないけれど、麺は同じ。頼んでみたら、そっちが本命になる人もいます。
謎を追いかけ続ける快感が好きなら
『Xファイル』の何が良かったかというと、たぶん答えが出ないことです。真実はそこにある、と言いながら、まあ出てこない。それでも観てしまう。
信じたいモルダーと、疑わずにいられないスカリー。あのふたりの綱引きは、どちらが勝つわけでもなく最後まで続きます。真実を探し続けているはずのモルダーより、スカリーの方が現実を見ている。
決着しきらない、続きを想像できるのが、心地よい。この味です。
FRINGE フリンジ(全5シーズン)
説明のつかない怪事件、FBI捜査官、変人科学者、そして背後に伸びていく巨大な陰謀。……もう説明はいらないと思います。いちばん近い味です。
ただの後追いで終わっていないのが見どころで、シーズンを追うごとに話のスケールが変わっていきます。あの「毎回の事件」と「大きな話」の往復が好きだったなら、まずここから。
Twin Peaks ツイン・ピークス(全3シーズン)
田舎町で少女が殺される。犯人を捜していくうちに分かってくるのは、この町、全員あやしいということです。
誰もが裏の顔を持っていて、誰の話も信用できない。疑う相手が最後まで絞れないので、観ているあいだずっと落ち着きません。
そして、FBI捜査官としてデヴィッド・ドゥカヴニーが出ています。それだけでも観る理由になりますよね。
ただし、味つけは少し違います。『Xファイル』は「次が観たい」で進む作品です。追いかけているうちに、気づけば何年も経っている。
こちらには、追いかけるというより深みにハマっていく感じです。そして、ツイン・ピークスの町から出られなくなってしまう。事件の真相は解明したはずなのに、抜けられない。
追いかけ続けるか、浸り続けるか。好きなほうが後者なら、これ以上の作品はありません。
Grimm グリム(全6シーズン)
刑事が、自分は童話の怪物を見分けられる血筋だと知ってしまう話。『Xファイル』でいう「怪物回」だけを抜き出して、6シーズン続けたようなドラマです。
陰謀パートが重くて疲れる、でも毎回の怪物は好きだった。そういう人にちょうどいい。気楽に長く付き合えます。
【番外】Silo サイロ(シーズン2まで配信)
ここから系統が変わります。宇宙人も怪物も超常現象も、1つも出てきません。
地下施設で一万人が暮らしていて、外は毒に満ちていると教えられている。ある技師が、その説明を疑いはじめる……それだけの話です。
それだけの話なのに、たぶんあなたが『Xファイル』で好きだったものが全部あります。与えられた説明を疑い始め、そして真実を探し続けるというだけで最後まで引っぱる。焼きそば枠のつもりで置きましたが、いちばん刺さる人もいると思います。
先が気になりすぎて配信を待ちきれず、原作本を先読みしたのは私です(笑)
チームと人が変わっていく温度が好きなら
『MAJOR CRIMES』や『クローザー』を最後まで観た人は、たぶん事件を追っていたわけではないですよね。
あの人とあの人の距離が、何年もかけて少しずつ変わっていく。嫌っていたはずの相手を、いつのまにか信頼している。それを見届けるために観ていた。
だから終わったときに、事件が解決したのに何かが足りない感じが残る。あれは、家族が解散したのに近い感覚だと思っています。
というわけで、この3本は「チームの温度」で選びました。
The Mentalist メンタリスト(全7シーズン)
一見ふつうの捜査コンサルタントもの。でも背骨にあるのは復讐です。主人公は家族を殺した犯人を、7シーズンかけて追い続けます。
最初は、お互いを利用していた主人公と警察ですが、シーズンが進むごとに、だんだんチームに、そしてファミリーになっていく。低温から徐々に温まって熟していくところがいいのです。
Dr. HOUSE ドクター・ハウス(全8シーズン)
舞台は病院ですが、ひとりの天才が、誰も解けない問題を解く。医療ドラマのようでミステリー要素を多分に含んだ推理ドラマでもあります。
ハウスの実力を誰もが認めていて、友情や尊敬の気持ちもありながら、振り回されるチームメンバーたち。自分勝手さはブレンダの上を行きます。
毒舌の切れ味だけで8シーズン持たせた、あきれるようなドラマ。観終わると、これまたロスに陥りますが、大丈夫、後継候補が育っています。→『DOC わたしを思い出す日まで』
The Good Fight グッド・ファイト(全6シーズン)
『The Good Wife グッド・ワイフ』の続編。全財産を失ったベテラン弁護士が、新しい事務所でやり直す話です。
こちらのほうが尖っています。政治も人種も司法の不正も、遠慮なく正面から扱う。会話の速さはそのままに、扱う球が重くなった感じ。ファーム内外での各チーム戦が楽しめます。
記事の後半で紹介している『グッド・ワイフ』を観てからのほうが断然おいしいので、順番は守ることをおすすめします。
【番外】The Fall 警視ステラ・ギブソン(全3シーズン)
主演はジリアン・アンダーソンです。そしてこれが、このセクションの焼きそば枠。
連続殺人を追う捜査官と、昼間は普通の父親である犯人。両方の視点が並行して進みます。追う側と追われる側の距離が、話が進むほど気持ち悪く縮んでいく。
ブレンダやシャロンのような「厳しいけど温かい上司」ではなく、ステラは「女子にはやさしいけど、自身と男子には厳しい、できる上司」男社会を実力でのし上がった職務遂行まっしぐらタイプです。そこが良い。
切れ味のある会話劇が好きなら
『SUITS』の気持ちよさは、たぶん会話のテンポがよいことです。あとはバディの相性の良さ。
誰かが仕掛けて、誰かが切り返す。無駄な説明がない。漫才のように小気味よい掛け合い。あれをずっと浴びていたい。そんな感覚じゃないでしょうか。
まだ観ている途中の人もいると思うので、観終わってからでも大丈夫です。
White Collar ホワイトカラー(全6シーズン)
天才詐欺師と、彼を捕まえたFBI捜査官が組む話。知的で、軽快で、洒落ています。
立場も性格もバラバラな人間が、事件をこなすうちに、ほどけない関係になっていく。お互いを疑う関係で、信じたい気持ちと格闘しつつ、徐々に積み上がっていく感じが心を打ちます。
Rizzoli & Isles リゾーリ&アイルズ(全7シーズン)
刑事と検視官、正反対のふたりの女性バディ。言い合いのテンポがとにかく軽快で、事件そっちのけで漫才を聞いている気分になります。いちばん軽くて、いちばん長く付き合える一本です。
重い話を続けて観たあとに、これくらいの温度がちょうどいいことがあります。殺人事件がメインなのに、後味が軽い。7シーズンあるので、しばらく困りません。
The Good Wife グッド・ワイフ(全7シーズン)
夫の失脚で、13年ぶりに弁護士に戻った女性の話。会話劇としての完成度は、この中で頭ひとつ抜けています。
『SUITS』が「勝ち方の爽快さ」なら、こちらは「勝ったのに何かを失っている」ほうを描きます。切れ味は同じ。後味が違う。そこが面白い。
【番外】Forever Dr.モーガンのNY事件簿(全1シーズン)
死ねない体になった検視官が、事件を解きながら、自分の数百年と向き合う話。法廷も企業も出てきません。このセクションの焼きそば枠です。
主人公の受け答えの切れ味は同じ系統です。知性のある軽快な会話のキャッチボールを聞いていたい、という欲求を満たしてくれます。
そして全1シーズン。これは弱点ではなく、この場面では長所だと思っています。次の大作に入る前の、箸休めにちょうどいい。
迷ったら、いちばん短いものから
ここまで読んで、まだ決められない人もいると思います。わかります。長いドラマを1本終えた直後に、また何十話もあるものへ飛び込むのは、けっこう勢いと体力が要りますよね。
そういうときは『Forever Dr.モーガンのNY事件簿』から。全1シーズンです。
合わなければすぐ抜けられるし、合えばそのまま次へ行ける。助走にちょうどいい一本。
もっと広く見たい人は、こちらもどうぞ。ジャンル別に並べてあります。

おわりに
この記事を書きながら気づいたんですが、私が繰り返し選んでいるのは「変な人が出てくる話」ばかりでした。
ウォルター・ビショップ、ハウス、パトリック・ジェーン、モーガン。全員どこかおかしい。
……モルダーもそうか。
なるほど、そういうことかもしれません。



